CRETのコラム Colomn

CRETから、最新の教育・テストに関する世界の動向などをコラムとしてお届けします。

アメリカの教育界を垣間見て

CRET理事 赤堀 侃司

 

 2012年の3月と6月にアメリカの学会であるASCDとISTE(International Society for Technology in Education)の2大会に参加するチャンスがあった。ASCDとISTEは、研究者よりも学校の教員を対象とした学会であり、その意味でアメリカの教育界の実情を知る上で、大変に参考になった。その印象は以下の3点である。

 

 第1に、アメリカの教育界では、教科主義の影響が強くなっているようである。具体的には、ほぼすべての州で共通の標準カリキュラム(Common core state standard、以下CCSS)にしたがって、教育されていることが挙げられる。すべての教科ではなく、数学や言語などに限られているようだが、これは大きな変化である。アメリカは州の独立性が強いので、日本の学習指導要領に対応するNational Curriculumはないが、このCCSSがほぼ全州で共通であることは、アメリカ版学習指導要領と言ってよいだろう。教科の内容を確実に定着させ、子供たちに考えさせ、何ができたかを評価することは、日本の教育と同じである。

 

 第2は、その一方で、批判的に思考する/自分の意見を発表する/創造的な思考をする/メタ認知的な思考を促す/子供たちの経験を重視するなど、伝統的な経験主義がやはり中心ということである。日本の学習指導要領では、基礎的基本的な知識および技能と、思考力・判断力・表現力を活用した課題解決的な学習の2つが、車の両輪のように言われているが、アメリカも同じような方向を目指している。

 

 最後に、デジタル教材などの活用について言えば、アメリカの教員には違和感がなく、普通に使っている様子が日本と異なるように思われた。例えば、単元ごとの質問内容のデータベース、子供たちに活動させる時間をコントロールする時計表示、算数の動機づけの教材、単元ごとの評価問題など、多様なソフトや教材が市販されているが、学校の先生方に大いに受け入れられているようである。

 

 全体的には、日本もアメリカも他の国も、ほぼ同じような教育活動をしているようである。日本の教員も指導者も、もっと自信を持っていいのではないだろうか。(2012.9.25)

 

赤堀 侃司 -Kanji Akahori-

日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)会長/ICT CONNECT 21(みらいの学び共創会議)会長/東京工業大学名誉教授

静岡県高等学校教員、東京学芸大学講師・助教授、東京工業大学助教授・教授、白鴎大学教育学部長・教授を経て、現在に至る。この間、放送大学、国連大学高等研究所などの客員教授の兼務。

◆著書:『教育工学への招待』(ジャストシステム 2002年)、『授業の基礎としてのインストラクショナルデザイン』(日本視聴覚教育協会 2004年)、『授業デザインの方法と実際』(高陵社書店 2009年)、『コミュニケーション力が育つ情報モラルの授業』(ジャストシステム、2010年)、『タブレットは、紙に勝てるのか』(ジャムハウス 2014年)など。

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