CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

日本社会心理学会第57回大会 発表報告
制御適合はパフォーマンスを高めるのか?
-制御適合の種類とパフォーマンスのタイプ別の検討-

2016年9月17日(土)・18日(日)にかけて、兵庫県西宮市の関西学院大学西宮上ヶ原キャンパスにて開催された日本社会心理学会第57回大会に参加し、発表を行いました。学会2日目はあいにくの雨模様となりましたが、比較的過ごしやすい気候でした。学会前々日の9月15日は、中秋の名月(十五夜)で、宿泊先のホテルから綺麗なお月様が見えました(満月は、9月17日でしたが)。学会開催校であります関西学院大学のシンボルはクレセント(三日月)ですが、その両端は交差して広がっています。知の限界を突破する研究がこの場に多く集まりますように、という願いを込めたデザインだそうです。昨今の学術研究を取り巻く環境には様々に厳しいものがありますが、せめて学会開催の2 日間は熱い議論を戦わせようではないかという本学会のコンセプト通り、この2日間は研究という愉悦に浸る場となりました。

 

個人的な話になりますが、私が日本社会心理学会で研究発表したのは、2004年に開催されました日本社会心理学会第45回大会以来で、年月の早さに驚いています。日本社会心理学会自体には定期的に参加していましたが、日本社会心理学会での発表は実に12年ぶりでした。

 

今回、私は三和研究員・湯研究員・黒住研究員・長峯研究員・相川理事と連名で「制御適合はパフォーマンスを高めるのか?-制御適合の種類とパフォーマンスのタイプ別の検討-」というタイトルでポスター発表を行いました。相川研外山班では、「コンピュータ画面上での問題解決を動機づける方法について」を大きな研究テーマとして掲げていますが、その第1弾として制御焦点の研究を行っています。というのは、コンピュータ画面上で学習を進める大きなメリットの1つに、学習者や状況に合わせた教授法等を提示できる点が挙げられるからです。

 

近年、動機づけ研究の分野においては、制御焦点、制御適合について精力的に研究が行われています。そこでは、個人(あるいは状況)と方略が合っていると(“制御適合”という)、現在の活動(例えば“学習”)に対して“正しい”と感じられ、活動そのものの価値が高まり、活動へ積極的に従事し、高いパフォーマンスを示すことが明らかになっています。

 

このように、先行研究では、制御適合を経験するとパフォーマンスが高まるという知見が積み重ねられていますが、本研究では、制御適合の種類によって、高まるパフォーマンスのタイプが異なることが考えられるため、パフォーマンスのタイプを考慮したうえで、制御適合の種類別に制御適合がパフォーマンスに及ぼす影響について検討することにしました。

 

相川研外山班の研究発表は、私が第1発表者として発表するのは3度目、相川研外山班全体では6度目の発表となりました。私たちの班がこのテーマで研究を行っていることに対する認知度も少しずつ高まっていき、途切れることなく多くの研究者の方にお越しいただき、有意義な議論を進めることができました。制御適合の研究は社会心理学やパーソナリティ心理学など多様な領域で注目されているテーマだと改めて感じました。そして、別解釈の可能性や課題もご指摘いただき、私自身、とても勉強になった発表でした。

 

本発表では、促進焦点の状況が活性化され、熱望方略を使用するときに制御適合が生じ、熱望方略に合致したパフォーマンス(本研究では、速さ)が高くなることが示されました。一方で、防止焦点状況が活性化され、警戒方略を使用すると制御適合が生じ、警戒方略に合致したパフォーマンス(本研究では、正確さ)が高くなることが示されました。本研究の結果より、ひとえに制御適合と言ってもその効果は一様ではなく、制御適合の種類によって高まるパフォーマンスのタイプが異なることが示され、制御適合の効果を検討する際には、制御適合の種類とパフォーマンスのタイプを考慮に入れて検討する必要性が示されたと言えます。

 

来年の日本社会心理学会は、広島大学で開催される予定です。この学会は知り合いも多く、かつ関心の高い学会のひとつですので、継続して参加したいと考えています。

 

 

制御適合はパフォーマンスを高めるのか?-制御適合の種類とパフォーマンスのタイプ別の検討-

(外山 美樹・長峯 聖人・湯 立・三和 秀平・黒住 嶺・相川 充)

 

(CRET連携研究員 外山 美樹)

 


外山 美樹 -Miki Toyama-

CRET連携研究員 筑波大学 人間系 准教授

趣味: 育児、旅行(温泉めぐり)

研究テーマ: 自己認知が動機づけやパフォーマンス、精神的健康にどのように影響をするのかを研究しています。
http://www.u.tsukuba.ac.jp/~toyama.miki.ga/index.html

研究発表論文

2017-07-31

教育テスト研究センター年報 第2号 2017年7月

相川 充

赤堀 侃司

加藤 由樹

加藤 尚吾

竹内 俊彦

舘 秀典

稲垣(藤井) 勉

澤海 崇文

北澤 武

若山 昇

宇宿 公紀

安西 弥生

外山 美樹

小林 輝美

湯 立

長峯 聖人

三和 秀平

酒井 智弘

林 楚悠然

黒住 嶺

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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