CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

日本心理学会第81回大会 発表報告
~特性シャイネスの日米間比較――今なお「日本人はシャイ」か――~

 久留米シティプラザにて、2017920日から22日にかけて開催された日本心理学会第81回大会に、相川理事、澤海研究員とともに参加・発表してきました。

 

 日本心理学会は会員数が多い学会で、年次大会の開催にあたっては大きな「箱」や、多くの人員が必要になります。開催校の久留米大学の先生・スタッフの方々には、そうした大変な状況においても大会運営が円滑に進むよう細やかな配慮をいただき、気持ちよく発表を行うことができました。また、飛行機が得意でない私には、陸路で通える数少ない場所でしたので、この点も嬉しかったです。

 

 私は学会大会では、主にポスター発表や口頭発表の会場で情報収集をすることが多いのですが、今回は国際賞講演や招待講演、シンポジウムなどにも積極的に参加して拝聴しました。どれも興味深かったですが、最後の公認心理師に関するシンポジウムでは「公認心理師の養成にあたり、大学の研究者は自分の専門だけを究めていればよい時代ではなく、幅広い領域をカバーできるようになる必要がある」といった話題が出ており、ここ数年で話題になっている公認心理師についての議論や情報開示は、これから受験する人たちの関心事であるだけでなく、私たち教員にとってもターニング・ポイントとなりうるだろうと感じました。特に「研究者を目指す人と公認心理師を目指す人とが混在している中で、それぞれの目的に応じた指導体制を組めるかという問題がある」、「養成大学が資格教育だけに専心するようになってはならない」といったお話は、いろいろと考えさせられるものでした。

 

 さて、私はCRET相川研として実施した研究(特性シャイネスの日米間比較――今なお「日本人はシャイ」か――)を21日に発表しました。会場はやや狭く熱気を感じたものの、それだけ人が多いということですので、学会らしさがあって良いと思いました。

具体的な発表内容は、副題にもあるとおり、昔(40年前)と同様に、日本人はアメリカ人より「シャイネス」が高いか否かを検討したものです。シャイネスとはいわゆる「内気さ」の程度で、以前よりアメリカ人よりも日本人の方が高いシャイネスを持つとされてきました。初期の研究から40年ほどが過ぎた今、その様相はどのようになっているかについて、日米比較を行いました。

結果を一言でまとめれば「今なお『日本人はシャイ』」でした。日米ともに1400名ほどを対象にWeb調査を行い、特性としてのシャイネスの高さを比較した結果、以下の4点が明らかになりました。

(1)       全体的に見て、日本人はアメリカ人よりシャイネスが高い。

(2)       全体的に見て、女性は男性よりシャイネスが高い。

(3)       アメリカ人においては、女性は男性よりシャイネスが高い一方、日本では男女差はない。

(4)       男女ともに、日本人はアメリカ人よりシャイネスが高い。

 

 一連の結果は、いずれも先行研究の結果と一致するものでした。こうして見ると、日本人は昔と変わらずシャイなままなのですが、日米ともにシャイネスの意味づけは変わってきている可能性があります。私たちのこれまでの研究では、「日本人のシャイネスに対するイメージはポジティブになってきている」、「アメリカ人の方が、日本人よりもシャイネスをポジティブに捉える人が多い(!)」といったことが示されています。特に後者は私を含め多くの人にも意外性の大きいもので、今回の結果を解釈する上で重要になるかもしれません。お越しくださった方々からいただいた多くのコメントを参考にしつつ、本研究の成果を論文としてまとめていこうと思います。

 

 私が日本心理学会に入会して10年が過ぎました。久々に再会した先輩や知り合いが他大学に異動していたり、後輩が就職していたりと、様々なニュースに触れることが多くなり、懐かしいような淋しいような、何とも形容しがたい気持ちになることが増えたように思います。とはいえ、変わらないのは学会大会の雰囲気から得る「刺激」です。本務校の業務が少しずつ忙しくなり、本腰を入れて論文を書く時間が減りつつありますが、この刺激を大事に受け止めて、明日から(いや、今日から)また執筆作業に精を出そうと思いました。

 

特性シャイネスの日米間比較――今なお「日本人はシャイ」か――

稲垣 勉・澤海 崇文・相川

 

CRET連携研究員 稲垣


稲垣(藤井) 勉 -Tsutomu Inagaki (Fujii)-

CRET連携研究員 鹿児島大学 鹿児島大学学術研究院法文教育学域教育学系 講師

2012年から2016年まで韓国で教育にあたっていました。日本に戻ってからは、車であちこち出かけるのが趣味になりました。

研究テーマ:人の態度や特性(パーソナリティ)を、潜在的測定法などを使って多角的にとらえる研究を続けています。http://pyfpy037.wix.com/tsut0muf

研究発表論文

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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