CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

日本教育心理学会第59回総会 ポスター発表/シンポジウム報告
ポスター発表「制御適合はパフォーマンスを高めるのか?-日常場面の学業パフォーマンスに焦点を当てて-」
シンポジウムの話題提供「制御適合理論の見地からみた学習動機づけ研究の未来の可能性」

2017年10月6日(土)から9日(月)にかけて、愛知県名古屋市の名古屋国際会議場にて開催された日本教育心理学会第59回総会に参加し、ポスター発表ならびにシンポジウムの話題提供を行いました。学会前日の10月5日は、今季1番の冷え込みとなり、名古屋に到着してすぐに、名古屋名物の「味噌煮込みうどん」(愛知県を中心とした中京地方で主に製造され消費される豆味噌を用いるのが特徴で、麺が一般的なうどんとは異なる独特の硬さに煮込まれています)を食べに行きました。

 

学会の会場となった名古屋国際会議場の中庭には、イタリアルネッサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチが作り上げようとしたスフォルツァ騎馬像(幻の作品と呼ばれているそうです)がありました。これは、1967年に発見された手稿や残された数々のデッサンを参考に、2mの原形を粘土で創作した後に、コンピュータで拡大し強化プラスチックで仕上げたそうです。日本の研究と技術がもたらした世界で唯一の作品に、ただ驚かされました。

 

さて、名古屋国際会議場は、飛び立つ白鳥をモチーフにしたデザインがされていますが、その中の「白鳥ホール」でポスター発表を行いました。今回、私は、長峯研究員・湯研究員・三和研究員・黒住研究員・相川理事と連名で「制御適合はパフォーマンスを高めるのか?-日常場面の学業パフォーマンスに焦点を当てて-」というタイトルで発表を行いました。制御適合を経験するとパフォーマンスが高まるという知見が、報告されています(e.g. 外山他,2017)が、日常場面での学業パフォーマンス(e.g. 学業成績)においても、同様の効果がみられるのかどうかを検討した研究はありません。そこで私たちは、制御適合の観点から、制御焦点が学業パフォーマンス(定期試験の点数)に及ぼす影響について検討しました。その結果、日常場面での学業パフォーマンスにおいても、制御適合が起きると、学業パフォーマンスが向上することを示しました。

 

ポスター発表には、多くの研究者や学校現場の先生にお越しいただき、様々な分野の観点を踏まえた有意義な議論を進めることができました。特に、教育現場の立場からの貴重なご意見を伺うことができ、実りのあるものとなりました。私たちが行っている研究は、教育の現場に役立つ知見を提供しうるものであることを実感しました。

 

また、「学習動機づけ研究の未来-教育心理学研究における動向とこれから-」という準備委員会企画シンポジウムでは、「制御適合理論の見地からみた学習動機づけ研究の未来の可能性」というタイトルの話題提供を行いました。ここでは、これまでCRETで行ってきました研究をいくつか紹介しました。ここでの反響も大きなものとなりました。

 

ところで、今回の総会のテーマは、「実践を豊かにする確かな理論」でした。実践に役立つ知見を提供するためには、確かな理論と堅実なデータが必須であると考えられます。私たちが援用している「制御焦点理論」ならびに「制御適合理論」は、教育実践への寄与・貢献となりうる魅力的な理論であると確信しております。まだまだ残されている課題も多く、その課題を1つ1つクリアしながら、実践に役立つ知見を提供すべき、今後の研究を進めていきたいと考えています。

 

「制御適合はパフォーマンスを高めるのか?-日常場面の学業パフォーマンスに焦点を当てて-」

「制御適合理論の見地からみた学習動機づけ研究の未来の可能性」

(外山 美樹・長峯 聖人・湯 立・三和 秀平・黒住 嶺・相川 充)

 

(CRET連携研究員 外山 美樹)


外山 美樹 -Miki Toyama-

CRET連携研究員 筑波大学 人間系 准教授

趣味: 育児、旅行(温泉めぐり)

研究テーマ: 自己認知が動機づけやパフォーマンス、精神的健康にどのように影響をするのかを研究しています。
http://www.u.tsukuba.ac.jp/~toyama.miki.ga/index.html

研究発表論文

CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







>> 研究室の
詳細はこちら

コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

>> 研究室の
詳細はこちら

コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

>> 研究室の
詳細はこちら