CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

日本社会心理学会第58回大会 発表報告
~シャイネスに対するイメージの日米比較~

広島大学にて、20171028日から29日にかけて開催された日本社会心理学会第58回大会に、相川理事および稲垣研究員と参加して発表を行ってきました。

 

開催期間の現地の天候はあいにくの台風でしたが、一度会場に入ってしまえば建物の外に出る必要はなく(外に出て無駄な時間を過ごすことなく)、研究発表に集中することができました。いくつかの非常に興味深いワークショップやシンポジウムがあり、以下では一つだけ触れたいと思います。

一日目にSelf-Esteem(自尊心、以下SEと略する)についてのワークショップが開催されました。SEについてはCRETとして本格的に取り組んでいた時期があり、アカデミックな興味は常に持ち続けていました。四名の先生方が話題提供を行い、それぞれが異なった視点からSEに関しての知見を提供しており、大変勉強になりました。双生児研究を基盤としてSEの高さを遺伝要因と環境要因に分類する研究、性ホルモンの影響から人差し指と薬指の長さの比がSEと関連することを示した研究、SEを高めるためには他者に好かれようとするのではなく他者に思いやりを持つことが重要であることを示した研究、SEの定義の歴史と緻密な分析からSEを「自尊感情」ではなく「自尊心」と訳するように提言した研究でした。今後、相川研稲垣班では動機づけを中心とした研究を進める予定で、動機づけを高めるための一つの可能性としてSEが先行研究において着目されているため、今後のCRETでの研究活動に示唆を与えるようなワークショップでした。

 

さて、私はCRET相川研として実施した研究(シャイネスに対するイメージの日米比較)を28日に発表しました。ポスター発表を行い、学会参加者がひっきりなしに聞きに来て興味を持ってくれました。定められた在席時間外に他のポスター発表も聞きに行きたかったのですが、あまりに好評でその場から離れる余裕がないくらいだったため、それがかないませんでした。しかし別の見方をすれば、我々の研究を幅広く対外的にアピールできたものと思います。

 

発表内容を具体的に述べると、シャイネスに対するイメージを日本とアメリカで比較しました。シャイネスは恥ずかしがり屋やはにかみ屋などの人たちを表す特性で、特にアメリカにおいては昔から改善すべきものとして扱われてきました。そのようなことを踏まえると、アメリカではシャイネスに対し、総じてネガティブで好ましくないというイメージが持たれているかと予測されます。一方、日本では謙遜が価値として重んじられており、シャイな人ほど口数が少なく謙遜しているように周りには映るため、比較的ポジティブで好ましいというイメージが持たれやすいのではないでしょうか。以上のような仮説を検討するため、大規模なオンライン調査を日米で実施しました。

データ分析の結果、大変興味深い結果を得ることができました。完全に我々の予測とは逆の結果が得られたからです。つまり、シャイネスに対しての肯定的な印象は、日本ではなくアメリカにおいて観測されたのです。この結果に対して我々は複数の可能性を挙げて発表しましたが、発表を聴きに来てくれた参加者と共に考察を行うことで、さらに別の可能性も得ることができました。

その一つとして、アメリカ人がシャイネスと聞くと、シャイなアメリカ人ではなくシャイな日本人が思い浮かべられ、日本の良さを念頭に置いて回答したためにポジティブな印象になったのではないかという意見です。我々では思いつかなかった指摘で、大いに勉強になりました。

 

毎年のことですが、本学会は非常に落ち着く場所です。懐かしい顔にたくさん触れることができ、お互いの近況報告を交わすこともでき、最近論文を刊行したという報告を聞くと私もしっかりと論文の形に残す作業を早く行わなければならないと痛感しました。

 

 

~シャイネスに対するイメージの日米比較~

澤海 崇文・稲垣 勉・相川

 

CRET連携研究員 澤海 崇文)


澤海 崇文 -Takafumi Sawaumi-

CRET連携研究員、流通経済大学 社会学部 助教

趣味: テニスやヨガなどで定期的に体を動かすようにしています。語学学習にも励み、海外旅行も人生の楽しみの一つです。

研究テーマ:対人コミュニケーションやパーソナリティに興味があり、それらの比較文化研究が専門です。

研究発表論文

2017-07-31

教育テスト研究センター年報 第2号 2017年7月

相川 充

赤堀 侃司

加藤 由樹

加藤 尚吾

竹内 俊彦

舘 秀典

稲垣(藤井) 勉

澤海 崇文

北澤 武

若山 昇

宇宿 公紀

安西 弥生

外山 美樹

小林 輝美

湯 立

長峯 聖人

三和 秀平

酒井 智弘

林 楚悠然

黒住 嶺

CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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