CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

日本教育工学会研究会 発表報告
~読解時のアノテーション量と記憶の関係に関する研究~

 2010年10月23日に、茨城大学にて開催された日本教育工学会研究会で口頭発表を行いました。本発表は、2009年度から継続して行っている、ペーパー試験におけるアノテーションに関する研究についてです。特に、一番素朴な疑問として常にある、読書をしている時のアノテーションの量と成績の関係について発表しました。

 私たちは日常的に、読書をする際に、線を引いたり、マーカーをつけたり、自分のオリジナルの印をつけたりと、いろいろなアノテーションを行っています。以前から指摘されておりますが、試験の読解問題でもそれは同様です。しかし、ペーパーベースの試験であればそれが自由に行えますが、コンピュータベーステスト 環境下ではアノテーションは通常できません。許可されていないというよりも、そういう機能自体が実装されていないことがほとんどだと思います。もしアノテーションの有無が試験の結果に影響を及ぼすならばCBTにもそれ相応のインタフェースを実装する必要があるでしょう。学習時のアノテーションの有効性はある特定条件化で有効であることがわかっていますが、試験のような限られた時間内では、アノテーションの有効性が疑わしいことなります。本研究では、特に、アノテーション量と記憶に関する相関について調査した結果を報告しました。

 結果、日本語文章の読解と記憶に関しては、アノテーション量とは相関がみられないことが分かりました。想起される日本語は、当然アノテーションした内容であろうと単純には考えられますが、実は、そうとは限らず、想起内容とアノテーションした個所の関係も薄いことがわかりました。また、日常的にアノテーションする学生がそれを禁止されたからといって大きな影響がみられないことも分かりました。ということは、普段、紙におけるアノテーションをしている学生が、試験時にアノテーション機能をもたないCBTで試験をうけても、あまり試験結果には影響がないことがわかります。私たちの研究では、もしアノテーションの有無が試験成績に影響を及ぼすなら、CBTにもアノテーション機能を実装すべきだという前提でしたが、一連の研究によりすべて否定されたというわけです。 

 本研究会は全国大会の直後ということもあり、通常よりも発表件数が少なく、また、2会場で同時開催でした。実は本会場の参加者はわずかで、もう一方の会場では、マンガに関する研究が連続して発表されており、そちらの方が大盛況でした。この研究会では、他にも、電子教科書に関する研究も数多く発表され、今後の教育・学習環境についての深い議論がなされ、研究のヒントを大いに得ることができました。

柳沢昌義(2010). 読解時のアノテーション量と記憶の関係に関する研究,
日本教育工学会研究報告集, JSET10-4, pp.123-128

pdf 論文PDF(184KB)

(CRET研究員 柳沢 昌義)

 


柳沢 昌義 -Masayoshi Yanagisawa-

CRET連携研究員、東洋英和女学院大学 人間科学部 教授

趣味: 料理、天体観測、東海道53次、各種展示会・家電量販店・ホームセンターをうろうろして何か新しいものを探すこと

研究テーマ:壁面大電子黒板を利用したインタラクティブな一斉授業に関する研究。最新のIT機器を用いた新しい授業設計。

研究発表論文

2019-07-19

教育テスト研究センター年報 第4号 2019年7月

相川 充

赤堀 侃司

加藤 由樹

加藤 尚吾

竹内 俊彦

稲垣(藤井) 勉

澤海 崇文

北澤 武

若山 昇

宇宿 公紀

安西 弥生

外山 美樹

小林 輝美

湯 立

長峯 聖人

三和 秀平

酒井 智弘

肖 雨知

海沼 亮

能渡 真澄

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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