CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

日本社会心理学会第52回大会 発表報告
「会社員による相互評価を用いたチームワーク力測定の試み」

 1. 大概
 2011年9月18~19日、名古屋大学で開催された日本社会心理学会第52回大会において、チームワーク能力尺度の妥当性とチームの構造理解に関する口頭発表を行いました。また、本研究と同様に、電子ネットワーク上での調査回答をテーマにしたセッションに参加し、電子ネットワーク上での調査の利点や課題など、今後の研究に十分に活かせる知見を得ることができました。

2. 発表内容
(発表者:CRET連携研究員 杉森 伸吉、CRET協力研究員 立石 理恵、CRET連携研究員 古屋 真、CRET連携研究員 森文香、CRET理事 相川 充)

[問題と目的]



 近年、OECD(経済協力開発機構)や本国・経済産業省によって、「多様な集団における人間関係形成能力」「チームで働く」といった、いわゆるチームワークの重要性が指摘されています。
 本研究では、チームワークの客観的指標の一つとして、会社員による相互評価(自己評価・他者評価)に着目し、すでに開発してある「チームワーク能力尺度」との関連を検討することで、(1)「チームワーク能力尺度」の妥当性を確認すること、また、両者の関連や相互評価における自己評価と他者評価を比較することで、(2)チームの構造理解を試みました。


[方法]
 材料としては、「チームワーク能力尺度」(全72項目)と、調査協力企業と共同で作成した相互評価(協同

識・職務遂行の2観点、全20項目)を用いました。
 調査参加者112名に対し、「チームワーク能力尺度」をインターネット上で(2010年8月)、相互評価は質問紙によって実施しました(2010年11月)。

[結果と考察]
(1)「チームワーク能力尺度」妥当性の検討
 相互評価(協同意識・職務遂行能力)における自己評価と、チームワーク能力尺度の下位尺度「コミュニケーション」「バックアップ」「モニタリング」「リーダーシップ」のとの間に中程度以上の正の相関が見られました。また、相互評価の他者評価では、チームワーク能力尺度の下位尺度「コミュニケーション」「バックアップ」との間に、弱いながら有意な正の相関が見られました。しかし、自己評価と他者評価の相関は見られませんでした。客観的指標の一つである相互評価と「チームワーク能力尺度」との関連が見られたことで、「チームワーク能力尺度」の妥当性がある程度確認されました。
(2)チームの構造の理解の試み
 自己評価から他者評価の値を引いた値と「チームワーク能力尺度」の下位尺度「コミュニケーション」「バックアップ」「モニタリング」「リーダーシップ」との間に正の相関が見られました。つまり、自己評価が他者評価に比べて相対的に高い程(自己高揚的)、チームワーク能力尺度の自己評価が高く、他者からの評価が自己評価に比べて高い程(自己批判的)、チームワーク能力尺度上での自己評価が低いことが明らかになりました。  また、メンバーに対する他者評価が一致している度合(指標として分散を用いた)が、チーム内における視点の共有度と関連する可能性を検討しました。その結果、相互評価の3項目「社員内でのコミュニケーションが豊かである」「感謝の気持ちを言葉で伝えている」「業務の目的を理解し、自ら工夫している」においては、他者からの評価の分散とチームワーク能力の下位尺度「チーム志向」との間に負の相関が見られました。つまり、相互評価の3項目における他者からの評価が評価者によって異なる程、被評価者の「チーム志向」能力の自己評価は低いということが明らかになったと言えます。

[質疑応答]
1) 相互評価の他者評価の人数は平均何名程度か?
→平均6名程度。
2) チームワークの相互評価で測っているものは何か?顕在的な行動か?潜在的な能力か?
→基本的には、顕在的な行動をもとに回答してもらっているので、基本的には顕在的なチームワーク力を測っていますが、顕在的な行動から想起させる潜在的な能力も回答に反映されているかもしれない。そうした潜在的な部分も混みにしての他者評価であるので、特にこの2側面を弁別するような工夫はしていません。
3) 自己評価と他者評価の関連が弱いのはなぜか?
→同項目を用いた評価にも関わらず、自己評価と他者評価の関連が見られませんでした。自分で評価する場合と他者が評価する場合で、その評価基準に何らかの相違がある可能性が考えられますが、その相違を明らかにするまでには至っていません。今後、より詳細に検討する必要があると思われます。 

pdf 当日資料PDF(2,154KB)

(CRET連携研究員 古屋 真) 

その他研究員 -Other Researcher-

研究発表論文

2020-07-14

教育テスト研究センター年報 第5号 2020年7月

相川 充

赤堀 侃司

加藤 由樹

加藤 尚吾

竹内 俊彦

舘 秀典

稲垣(藤井) 勉

澤海 崇文

北澤 武

若山 昇

宇宿 公紀

安西 弥生

外山 美樹

小林 輝美

湯 立

長峯 聖人

三和 秀平

酒井 智弘

海沼 亮

能渡 真澄

澄川 采加

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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