CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

日本教育工学会第26回全国大会 発表報告
~デジタルペン、タブレットPC、PCおよび紙と鉛筆の
4種類のメディアを用いた試験に関する比較分析~

2010年9月18日~20日に金城学院大学にて開催された日本教育工学会26回全国大会でポスターセッションにて発表しました。以下、報告内容と質疑・感想などを紹介いたします。

 コンピュータベースの試験(CBT)が、今後さまざまな場面で導入されると考えられます。CBTでは、従来の紙と鉛筆とは異なる問題提示や解答の仕方が求められます。例えば、問題提示では、紙かPC画面かの違い、解答方法では、キーボード入力もあれば、タッチペンを用いたもの、また、紙に書いた文字を認識できるデジタルペンも考えられます。そのため、CBT研究の一つとして、従来の紙・鉛筆とCBTで用いられる可能性のあるメディアとを比較し、それらのメディアでの問題提示や入力が試験へ及ぼす影響を調べる研究は重要と考えられます。

 本研究の目的は、試験に用いるメディアとして、デジタルペン、タブレットPC、PCそして、紙と鉛筆の4種類を比較しました。具体的には、大学生被験者96名を、人数性別ともにほぼ均等になるようにそれぞれのメディアに4群に分け、PISA2003の「読解力」試験問題を解答してもらう実験を行いました。なお、デジタルペンについては株式会社日立製作所のデジタルペンシステム、及びアノト社のデジタルペンを用いました。以下で、群間で成績等を比較分析した結果を示します。

 今回の「読解力」試験には多肢選択問題と記述問題がありましたが、多肢選択問題ではメディア間の差が見られませんでした。一方、記述問題の一部については、メディア間に成績の差が見られました。これらは、デジタルペン群と紙と鉛筆群で、タブレットPC群とPC群よりも点数が高いという結果でした。
 今回の記述問題には、解答者の意見を論理的に述べるものと、提示された長文に書かれていることの中で該当する部分を抜き出して論じるものがありましたが、差が見られたのは、抜き出して解答を行う問題でした。すなわち、問題が紙で提示され、別紙の解答用紙に解答を行うデジタルペン群と紙と鉛筆群で点数が高いという結果でした。一方、長文と問題文をスクロールしながら見て解答を行うタブレットPC群とPC群では、点数が低い傾向がありました。この解答の仕方の違いが、点数に影響を及ぼしたと推察されます。また、いくつかの記述問題において、紙に解答するデジタルペン群と紙と鉛筆群で解答文字数が有意に多いこともわかりました。

 ポスター発表の会場では、メディア比較に興味を持たれた多くの研究者の方から、本研究の意義を高く評価していただき、今後の継続的で詳細な実験、分析を期待するとのコメントをいただいきました。今後の研究活動に生かしていきたいと思っています。

加藤由樹, 加藤尚吾, 赤堀侃司, 吉本真代, 杉山康彦 (2010). デジタルペン、タブレットPC、PCおよび紙と鉛筆の4種類のメディアを用いた試験に関する比較分析,
日本教育工学会第26回全国大会講演論文集2010, pp.681-682.
pdf 論文PDF(263KB)

杉山康彦, 加藤由樹, 加藤尚吾, 赤堀侃司, 吉本真代(2010). デジタルペンを用いた読解力測定試験の試行と一考察,
日本教育工学会第26回全国大会講演論文集2010, pp.949-950.
pdf 論文PDF(299KB)

 

(CRET連携研究員 加藤 由樹)

加藤 由樹 -Yuuki Kato-

CRET連携研究員、相模女子大学 学芸学部 准教授

趣味: 移動中の読書と夕食後の映画鑑賞、旅先での写真撮影
テキストコミュニケーションの奥深さについて興味を持っています。
紹介Webサイト:http://www.sagami-wu.ac.jp/faculty/arts_sciences/media/teacher/details/kato_yuuki.html

研究発表論文

2018-07-19

教育テスト研究センター年報 第3号 2018年7月

相川 充

赤堀 侃司

加藤 由樹

加藤 尚吾

竹内 俊彦

稲垣(藤井) 勉

澤海 崇文

星 千枝

北澤 武

若山 昇

宇宿 公紀

安西 弥生

外山 美樹

小林 輝美

湯 立

長峯 聖人

三和 秀平

永田 衣代

小田 理代

後藤 義雄

CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







>> 研究室の
詳細はこちら

コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

>> 研究室の
詳細はこちら

コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

>> 研究室の
詳細はこちら