CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

日本教育工学会研究会(教育実践の研究とその成果/一般)参加報告
~大学教科書マンガにおける女性登場人物の好感度の男女差に関する研究~

 秋田大学手形キャンパスにおいて開催された日本教育工学会の研究会(教育実践の研究とその成果/一般)へ参加しました。

 

 本研究会では、「大学教科書マンガにおける女性登場人物の好感度の男女差に関する研究」と題し発表をしました。発表ではCRETでの実験の成果をまとめ、筆者らが目指す「女性にわかりやすい数学教科書」について、現段階で出ている結果を報告しました。

 

 近年、世間ではアニメイラストやマンガによる表現方法が多くみられ、これらの表現方法の利用は多分野に及びます。そこで、教科書にも利用できるのではないか?と考えました。実際、一部の高校数学教科書やラジオ講座のテキストには利用されています。

筆者らのここまでの研究によると、初学者には適度な量のイラストを教科書に用いることで、学習へ取り組みやすくなることがわかっており、教科書にもイラストを用いることの有効性はあると思われます。

そこで、筆者らは女性にわかりやすい数学教科書にアニメイラストやマンガを用いてはどうかと考えて段階的な検証研究を行うことにしました。

先の研究会では、大学生の教科書表紙の好み、女性登場人物の好みの傾向を報告しました。

 

 今回は、さらにその好みを男女別に分析することで、性差があるのか?女性の好みはどうなのか?を詳細に報告しました。

教科書表紙の好みについては、従来型の硬さが残る表紙、近年目立つようになった女性アイドルの写真を用いた表紙、女性アイドルをマンガイラストにした表紙の3つを比べ、どれが好まれるかを検証しました。その結果、男女には好みに差があることがわかりました。男性はイラストへも少し興味を見せるのですが、女性は写真やイラストには全く興味なく、従来型の表紙を好んでいました。

次に、女性登場人物の好みを見てみると、やはり、男女で好みに差がありました。女性は男性よりも、女性登場人物への好き嫌いが激しい傾向が認められました。

このような結果から、女性に対し、女性登場人物を用いた教科書を作成する際は細かい点に注意が必要だと考えられます。

 

 上記の発表について、当日は様々な角度からアドバイスを頂くことが出来ました。また、本研究へ興味を抱いて下さった方も多くいらっしゃいました。これらのご意見は今後の研究へ反映させていきたいと思っています。

  

 本研究会では、研究発表の他にセミナーも開催されました。

「超デジタル時代のテクノロジー活用教育―「学び」の質向上をめざして―」とのテーマで、東北大学大学院教育情報学研究部渡部信一先生がご講演されました。特別支援教育での実践経験から時代変遷による教育工学の役割の変化を指摘され、また、地域での新しい教育工学の役割からの実践を紹介されました。

デジタルが当たり前であり、空気のような存在となった現代、アナログの「質」の部分をデジタルの中に取り入れることで、学習の「質」の向上を考えてみてはどうか?というご提案は面白いものがあると感じ、大変勉強になりました。

 

(CRET連携研究員 周村 諭里)


周村 諭里 -Yuri Shumura-

CRET連携研究員、東洋英和女学院大学柳沢研究室リサーチアシスタント

趣味: Live鑑賞、読書、友達とのおしゃべり♪

数学におけるマンガ教科書に関する研究

研究発表論文

2016-09-30

教育テスト研究センター年報 第1号 2016年9月

相川 充

赤堀 侃司

柳沢 昌義

加藤 由樹

周村 諭里

加藤 尚吾

竹内 俊彦

舘 秀典

稲垣(藤井) 勉

澤海 崇文

北澤 武

若山 昇

宇宿 公紀

安西 弥生

外山 美樹

湯 立

長峯 聖人

三和 秀平

CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







>> 研究室の
詳細はこちら

コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

>> 研究室の
詳細はこちら

コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

>> 研究室の
詳細はこちら