CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

国際心理学会 発表報告
~Discrepancy Between Explicit Shyness and Implicit Shyness: Its Relation to Narcissism(潜在的シャイネス・顕在的シャイネスと自己愛の関連)~

 2012年7月22日から27日にかけて南アフリカ共和国、ケープタウンにて開催されたThe 30th International Congress of Psychologyにて、連携研究員の澤海研究員と参加しました。

 

 南アフリカは治安が気になるところでしたが、治安が比較的よい箇所と注意が必要な箇所は、インターネットやガイドブックの情報がたいへん参考になり、期間中は危険を感じることはありませんでした。会場は大きな国際会議場で、警備もしっかりとされていました。

 

 私と澤海研究員はそれぞれ、CRETから補助を受けて実施した2つの研究(潜在的シャイネス・顕在的シャイネスと自己愛の関連、潜在的シャイネスと潜在的自尊心の関連)を発表しました。私は電子ポスター発表を選択しましたので、従来の学会のような紙媒体のポスターを貼って対面で議論するということはありませんでした。また、特にメッセージをやり取りするような空間はなく、それぞれの研究発表のスライドを各自閲覧するというものでした。少し寂しい気もしましたが、紙媒体を用いたポスター発表は広いスペースが必要で、発表数が多いと見て回るのも大変ですので、電子ポスターはその制約がないという点はメリットだと感じました。

 

 私が発表した内容は、顕在的・潜在的な「シャイネス(内気さ)」に不一致を起こしている人(たとえば、自己報告ではシャイネスが高いと報告しながらも、潜在的測定法を用いた測定結果ではシャイネスは低い、など)はどんな特徴を持つのか?というものです。先行研究では、自尊心という概念を対象に検討が行われており、私たちはこのパラダイムをシャイネスに応用しました。従属変数として参加者の自己愛を測定し、顕在的・潜在的シャイネスの高低を独立変数として分散分析を用いて検討した結果、自己愛の一側面である「自己主張性」に対して交互作用が検出されました。ここでは、顕在的シャイネスと潜在的シャイネスに不一致がある群は、自己主張性が低いという結果が得られました。この結果の解釈は難しいところですが、不一致がもたらすものの意味について、より深く検討していく価値があることを示唆するものです。

 

 他の研究者のスライドを見ていくと、潜在連合テストを使用している研究も複数見られ、国内外を問わず広く使用されているツールであると感じました。この測定法が発表されてから14年程度しか時間が経っていませんが、その認知度はかなり高まっていると思われます。今後の研究へのモチベーションが高まりました。

 澤海研究員は口頭発表を選択し、フロアから質問があり、発表後に3人で議論をすることができました。潜在的な認知過程を探る研究は、根強い人気があることを実感しました。海外の研究者とコミュニケーションをとる機会があることは、モチベーションを高めてくれるとともに、何か勇気のようなものをもらえる素敵な機会だと感じます。

 

 また、この国際学会は4年後に横浜で開催されることが決まっており、日本の著名な心理学者の先生方が広報活動をしていらっしゃいました。心理学の国際学会としては相当大きな学会ですので、運営はさぞかし大変なのではないか、という感想を持ちました。

 国際学会は日本の学会と異なり、開催国の文化を垣間見ることができたり、幅広いジャンルの研究を知ることができたりと、非常に刺激的です。機会があればまた参加したいと考えています。

※共同研究者の相川理事、澤海研究員に感謝申し上げます。

 

pdf 当日資料PDF(767KB)

Discrepancy Between Explicit Shyness and Implicit Shyness: Its Relation to Narcissism

(藤井勉・澤海崇文・相川充)

 

(CRET連携研究員 藤井 勉)


稲垣(藤井) 勉 -Tsutomu Inagaki (Fujii)-

CRET連携研究員 鹿児島大学 鹿児島大学学術研究院法文教育学域教育学系 講師

2012年から2016年まで韓国で教育にあたっていました。日本に戻ってからは、車であちこち出かけるのが趣味になりました。

研究テーマ:人の態度や特性(パーソナリティ)を、潜在的測定法などを使って多角的にとらえる研究を続けています。http://pyfpy037.wix.com/tsut0muf

研究発表論文

2018-07-19

教育テスト研究センター年報 第3号 2018年7月

相川 充

赤堀 侃司

加藤 由樹

加藤 尚吾

竹内 俊彦

稲垣(藤井) 勉

澤海 崇文

星 千枝

北澤 武

若山 昇

宇宿 公紀

安西 弥生

外山 美樹

小林 輝美

湯 立

長峯 聖人

三和 秀平

永田 衣代

小田 理代

後藤 義雄

CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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