CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

The 30th International Congress of Psychology 発表報告
"Perception of individual-group relationships as a reflection of perceiver's teamwork abilities"
「個人や集団に対する知覚を用いたチームワーク力の測定」

 

(発表者:CRET連携研究員 杉森 伸吉、CRET連携研究員 古屋 真、CRET理事 相川 充)

 

【大概】

 30th International Congress of Psychology(開催期間:2012年7月22日~7月27日、開催場所:南アフリカ共和国、ケープタウン)に参加し、CRET相川研究室の杉森班で行っている、コンピューター・グラフィックス(以下、CG)を用いたチームワーク力測定に関する研究のポスター発表と、ここでは報告対象ではありませんが、従来行っている裁判員制度における犯罪情報処理スキーマの一般人と専門家の文化差研究の口頭・ポスター発表を行いました。

 

【発表内容】

 人類が集団を作って以来、チームワークの重要性は、体験的に認識されてきました。近年も、OECD(経済協力開発機構)が提唱するキーコンピテンシーにおける「多様な集団における人間関係形成能力」や経済産業省が提唱する社会人基礎力における「チームで働く力」などで、チームワーク力の重要性が指摘されています。チームワーク能力を測定する質問紙はいくつかありますが、言葉での質問の場合に、回答者が望ましい答えを意図的または無意識的に行ってしまうという「社会的望ましさのバイアス」が出ないとも限りません。また、言語依存的だと国際的な調査で翻訳の手間もかかります。今回発表した研究は、できるだけ言語依存的でなく、また社会的望ましさも出にくいように、何を測られているのかわからない形で、潜在的に個人の内面を測定する方法の1つとして開発したものです。CG動画(図1~3など)を見たときに、動画の登場人物などがどう感じたと思うかに、自分の中にある、個人-集団関係のとらえ方が投影されるという前提に立ち、コンピューターを用いたテスト(Computer Based Testing)を実施しました。

 調査参加者には、まず、個人のチームワーク能力尺度(相川・高本・杉森・古屋, 2012)への回答を求めました。その後、魚や人が、単独・集団内・集団外で行動するCG動画を提示し(試行用も含めた全12種類、提示時間はそれぞれ20秒間)、ターゲットとなる「黄色の魚(人)がどのように感じていると思うか?」それぞれのCG動画について回答を求めました。なお、回答の際には、12の選択肢(表1)を用意しました。

 

図1. CG動画例①(単独の魚)   図2. CG動画例②(集団内の人)   図3. CG動画例③(集団外の魚)
図1. CG動画例①(単独の魚)   図2. CG動画例②(集団内の人)   図3. CG動画例③(集団外の魚)

 

表1. 選択肢例(単独の魚や人のCGを提示した場合)

表1. 選択肢例(単独の魚や人のCGを提示した場合)

 

 

 個人のチームワーク能力尺度の得点と各CG動画に対する反応選択肢との関連を検討し、関連がみられた選択肢には得点を与え、CG動画に対する回答を得点化しました。これにより算出されたCGテスト得点と個人のチームワーク能力尺度得点との関連を検討した結果、弱い相関から中程度の相関があることが明らかになりました(表2)。

 

表2. CG得点とチームワーク能力尺度得点との相関係数(下位尺度ごと)

表2. CG得点とチームワーク能力尺度得点との相関係数(下位尺度ごと)

 

 この結果から、CGテストによって、個人のチームワーク力を測定することが充分可能であることが示唆されました。今後は、今回用いた得点化の方法をより精緻化し、個人のチームワーク力を測定するCGテストのシステムを作る予定です。

  

【後記】

 ポスター発表には、アメリカ、タイ、ナイジェリア、ニカラグア、中国、日本など様々な国の人々が来てくれました。中には、共同研究に発展させたいという方もいて、充実した発表時間を過ごすことができました。また、大会初日には、もう一つの、裁判員制度に関するポスター発表が予定されていましたが、前日に会場に行ったところ、口頭発表用の部屋になっていて、アレンジミスであることが判明しました。結局、ポスターしか用意してきていなかったために、ポスターも空いた時間に空いた場所に貼ることを認めていただき、夜中にパワーポイントを作り、口頭発表も行いました。 

 

(報告:CRET連携研究員 杉森 伸吉)


その他研究員 -Other Researcher-

研究発表論文

2019-07-19

教育テスト研究センター年報 第4号 2019年7月

相川 充

赤堀 侃司

加藤 由樹

加藤 尚吾

竹内 俊彦

稲垣(藤井) 勉

澤海 崇文

北澤 武

若山 昇

宇宿 公紀

安西 弥生

外山 美樹

小林 輝美

湯 立

長峯 聖人

三和 秀平

酒井 智弘

肖 雨知

海沼 亮

能渡 真澄

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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