CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

日本教育工学会(教育システムの実践活用/一般)発表報告
「ストーリー調の数学マンガを用いた数学学習の記憶効果に関する研究」

2012年10月27日に岡山大学で開催された、日本教育工学会(教育システムの実践活用/一般)に参加し、「ストーリー調の数学マンガを用いた数学学習の記憶効果に関する研究」と題して、口頭発表を行いました。これは、2012年7月にCRETで行った実験の報告です。

 

近年、さまざまなところで、マンガやイラストの利用が見られるようになっています。イベント広告などで街中で多く見かけるのがよい例です。この傾向は、教育分野でも見られるようになっており、教育マンガ利用も広く見られます。書店では「マンガ」と銘打ったテキストも多く見られるようになっています。

このようなマンガテキストを利用した学習について、私たちは以前より実験研究を継続しています。今回は実際にマンガテキストを用いた学習による記憶効果について実験を行いました。本実験では、マンガテキスト、マンガのストーリー部分を文章で会話しながら進めるテキスト、従来の教科書風のテキストの3種類を作成し、女子大学生に対し、それぞれで数学学習を行った後の直後学習と記憶定着効果について測定を行いました。その結果、学習直後のテストでは従来の教科書風のテキストでの学習で得点を伸ばすことができますが、一週間後に同じ数学のテストを行うとマンガテキストでの学習のみ得点を伸ばすことができました。つまり、記憶の定着効果はマンガテキストでのみ認められたということになります。これは、学習の定着という観点から、マンガを利用して学習を行うことで数学力を高めることができるのではないかと考えられます。今後、さらにマンガテキストでの学習をくり返しながら、長期的な記憶定着測定を行うことで、マンガの学習効果を検討する必要があると考えます。

 

図.各テキストで学習した数学テストの点数変化

(点線は予測である)

 

本発表に対しては、聴講者にも興味を持って頂くことができ、さまざまな指摘やアドバイスを頂きました。具体的には「マンガを動画メディアとして学習することも新しい方向として検討してみてはどうか」、「誤答分析を行うことでより詳細な数学学習のつまづきに注目してみてはどうか」などです。これらについては、今後、順次検討しながら研究に取り入れていきたいと考えています。

 

また、研究会では他の多くの先生方のさままざまな研究が発表され、新しい気づきや自分の研究へのヒントとなるようなことがありました。教育システムの実践活用とのテーマから、近年注目を浴び多くの人が利用しているSNSを教育現場で利用している実践についてやオンラインシステムを利用した教育支援など、教育現場での情報機器の利用実践の報告を多く拝聴することができました。これらは、CRETでもICT機器を利用した実験と実践の両面から研究されており、新しい考え方などを知ることもできました。

 

(CRET連携研究員 周村 諭里)


周村 諭里 -Yuri Shumura-

CRET連携研究員、東洋英和女学院大学柳沢研究室リサーチアシスタント

趣味: Live鑑賞、読書、友達とのおしゃべり♪

数学におけるマンガ教科書に関する研究

研究発表論文

2019-07-19

教育テスト研究センター年報 第4号 2019年7月

相川 充

赤堀 侃司

加藤 由樹

加藤 尚吾

竹内 俊彦

稲垣(藤井) 勉

澤海 崇文

北澤 武

若山 昇

宇宿 公紀

安西 弥生

外山 美樹

小林 輝美

湯 立

長峯 聖人

三和 秀平

酒井 智弘

肖 雨知

海沼 亮

能渡 真澄

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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