CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

日本グループ・ダイナミックス学会第60回大会 発表報告
~主観的幸福感とセルフ・モニタリングの関連~

札幌の北星学園大学にて、2013年7月14日・15日に開催された日本グループ・ダイナミックス学会第60回大会に、連携研究員の藤井研究員と参加しました。

 

札幌に到着してまず感じたことは、とても涼しいということです。7月半ばの東京と比べたら、札幌の平均気温は約5℃低いらしく、夜には長袖等を羽織らなければ寒く感じることもあるくらいです。幸い、東京の蒸し暑さには嫌気がさしていたので、避暑しながら研究発表をすることができました。

今回は交通の便を考慮して、私は“すすきの”という歓楽街のホテルに宿泊しました。街中では多くの人々が行き交っており、昼夜を問わずにぎやかな声が聞こえてきました。そのような外部の誘惑にも負けず研究発表に集中するため、ホテルやカフェにて研究発表の準備を進めておりました。

何も楽しまなかったかというと、そういうわけでもありません。ラーメンオタクの私にとって、札幌の味噌ラーメンを逃すわけにはいきません。飛行機で新千歳空港に到着し、快速エアポートで札幌市内に移動した後、ホテルよりもまずはラーメン店に足が向いていました。そこでいただいた味噌ラーメンは東京で出される味噌ラーメンとは一味違い、どっしりとした甘みを感じました。もちろんどちらの味も好きですが、新鮮な味に浸って気分転換することができました。

 

さて、私と藤井研究員はそれぞれ、CRETから補助を受けて実施した2つの研究(主観的幸福感とセルフ・モニタリングの関連、顕在的シャイネスと潜在的シャイネスの不一致に関する検討(2))を発表しました。2人ともポスター発表を選択し、発表当日には2人並んでポスター発表をすることができ、とても心強かったです。

具体的な発表内容として、主観的幸福感とセルフ・モニタリングの関係を検討しました。主観的幸福感とは自分が主観的に幸せだと思う程度を表し、経済的な豊かさだけでは決められません。経済的には豊かでなくとも、自分では生活に満足していると思っていれば、それは主観的幸福感が高いということを意味しています。このような幸福感を規定すると考えられる要因が昔から長い間研究されており、例えば収入が高いほど幸福感が高いといった傾向が見られるようです(もちろん収入だけですべてが決まるわけではありませんが)。

このような要因の1つとして、本研究ではセルフ・モニタリングを取り上げました。これは対人的な場面において、他者の行動や感情に敏感であり、それに合わせて自分の行動を調整することのできる能力を指します。このような能力の高い人は、少なくとも日本社会においては対人関係を良好に進めることができ、対人関係に対する満足感が主観的幸福感につながると予測し、本研究を行ったわけです。

その結果、主観的幸福感とセルフ・モニタリングの1側面である自己呈示の修正能力(状況に合わせて自分の行動を変えられること)との間に正の相関が見られました。つまり、置かれた状況に合わせて自分の行動を変えられる人ほど主観的に幸せであると感じていたという結果です。このような研究発表に対し、多くの研究者が発表を聞きにいらっしゃいました。幸福感を専門としている有名な先生方もいらっしゃり、示唆に富むコメントも多くいただくことができました。

 

日本グループ・ダイナミックス学会は、私は入会から既に8年目であり、知り合いも広がってきて、個人的にはとても愛着のわいている学会です。学会の規模は大きいとはいえませんが、社会心理学を専門とする研究者が多く集結するため、社会心理学の知識を深めるのに絶好の場だといえます。専門分野の近い研究者たちと、時には真面目に研究の話をし、時にはフランクに会話をすることができ、非常に楽しめた大会でした。また来年度も機会があれば参加したいと思っています。

 

pdf 主観的幸福感とセルフ・モニタリングの関連(866KB)
(澤海崇文・藤井勉・相川充)

 

(CRET連携研究員 澤海 崇文)


澤海 崇文 -Takafumi Sawaumi-

CRET連携研究員、流通経済大学 社会学部 助教

趣味: テニスやヨガなどで定期的に体を動かすようにしています。語学学習にも励み、海外旅行も人生の楽しみの一つです。

研究テーマ:対人コミュニケーションやパーソナリティに興味があり、それらの比較文化研究が専門です。

研究発表論文

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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