CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

The 28th International Congress of Applied Psychology発表報告
"Combining Effects of Implicit and Explicit Self-Esteem on Post-Task Affect and Mood"

 2014年7月8日から13日にかけてフランスのパリで開催されたThe 28th International Congress of Applied Psychology (ICAP) に参加し、発表を行いました。今までヨーロッパには行った経験がありませんでしたので、「華の都・パリ」を楽しみに向かいました。

 

 11時間ほどの長いフライトでかなり疲弊しましたが、シャルル・ド・ゴール空港に到着した際の「パリに来た!」という喜びは、その疲れを吹き飛ばしてくれるものでした。出張中のパリは日中でも気温が20度前後で、雨の日が多かったものの、とても過ごしやすい気候でした。宿泊しているホテルの近くでマルシェ (市場) が開催されている日もあり、野菜や肉などの生鮮食品が販売されており、その活気も楽しむことができました。

 

 私たちの班はImplicit Association Test (IAT) を用いた潜在的なパーソナリティ (シャイネス・自尊心など) の研究を続けており、今回の発表は,潜在的自尊心と顕在的自尊心の「組み合わせ」の効果が、どのようなときに生起しやすいのかを検討したものです。実験の結果、特に難しい課題に直面したときに、(1)潜在的自尊心、顕在的自尊心の両者が低い人は、無能感 (自分は頭が悪いと思う、頑張ってもだめなんだと思う) を強く感じること、(2)顕在的自尊心が高い人たちの中でも、潜在的自尊心が低い人は、課題が終わった後のポジティブな気分が低いことが明らかになりました。こういった組み合わせの効果は、あまり難しくない課題に取り組んだ人たちの中では観察されませんでした。したがって、学習場面における潜在的自尊心・顕在的自尊心の組み合わせの効果は、難しい課題に取り組んだとき(つまり、困難に直面したとき) に生起しやすいことが分かりました。

 

 2010年と同様、eポスターという形式の発表だったのですが、4年前と違ったのは「実際に口頭でプレゼンテーションをする時間がある」ことでした。4年前はポスターをサーバーにアップロードしておくのみでしたので、この点は変化したところです。発表内容を3枚のスライドにまとめ、40インチほどの画面に呈示しながら3分間で内容を説明し、フロアから質問が出た際に回答するための時間が2分設けられていました。私は、「実験で用いた指標(ポジティブな気分) はどのように測定したのか?」という質問をいただいて回答した他にはとくに質問が出ず、発表は4分ほどで終了しました。このeポスターのセッション会場は数か所あり、どのセッションも質問が出なければどんどん先へ進んでいくという、スピード感のあるものでした。発表終了のタイミングは、その場にいたボランティアの方が決めていたので、もう少しゆっくり時間をとっていただければ、さらに議論が深まったような気もして少し残念でした。

 

 しかし、ICAPは海外から多くの研究者が集まる大会なので、会場全体がエネルギーに満ち溢れていたように感じました。セッションが多すぎたために、どれを見るか迷うほどで「選択肢が多いほど行動が取りにくい」ことを身をもって実感しました。

 

 学会の合間を縫ってヴェルサイユ宮殿やルーブル美術館など、有名なところを一通り観光することもできました (全く関係のない話ですが、ルーブル美術館にあった有名な「モナ・リザ」は予想よりとても小さいサイズで、しかも近寄って見ることができないようになっているので、より小さく感じたことに驚きました)。

 

 国際学会は、世界のトレンドに触れる絶好の機会であると同時に、やはり「世界は広い」ことを実感させてくれる刺激的なものです。移動に時間がかかったり、場所によっては時差の影響を受けたりと、多少の苦労はあるものの、それを遥かに超える刺激を提供してくれる貴重な機会であると再認識しました。これからも研究を継続し、コンスタントに国内外で発表していきたいと考えています。

 

Combining Effects of Implicit and Explicit Self-Esteem on Post-Task Affect and Mood
(藤井 勉・澤海 崇文・相川 充)

 

(CRET連携研究員 藤井 勉)


稲垣(藤井) 勉 -Tsutomu Inagaki (Fujii)-

CRET連携研究員 鹿児島大学 鹿児島大学学術研究院法文教育学域教育学系 講師

2012年から2016年まで韓国で教育にあたっていました。日本に戻ってからは、車であちこち出かけるのが趣味になりました。

研究テーマ:人の態度や特性(パーソナリティ)を、潜在的測定法などを使って多角的にとらえる研究を続けています。http://pyfpy037.wix.com/tsut0muf

研究発表論文

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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