CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

教育システム情報学会(JSiSE)2014年度第5回研究会(新技術の開発と活用による次世代教育・学習環境のデザイン/一般)発表報告
「個別学習におけるタブレット端末の動画と一斉学習における動画の解説による比較分析」

 2015年1月10日に、大阪産業大学で開催された教育システム情報学会研究会に参加し、「個別学習におけるタブレット端末の動画と一斉学習における動画の解説による比較分析」について発表を行いました。

 

 本研究の背景として、タブレット端末の導入に関して文部科学省(2011)は、2020 年度に向けて実施する主な施策等として「安全安心な環境のもと、子どもたち1 人1 台の情報端末による教育の本格展開の検討」を行っています。学びのイノベーション事業実証研究報告書(2014)では、小中学校のICT活用の授業場面として、一斉学習、個別学習、協働学習を挙げていますが、本研究では、個別学習によるタブレット端末の活用に着目しました。個別学習でタブレット端末を使用したときの効果とタブレット端末教材を動画で説明することにより学生がもつ意識の変容を検証することが期待できます。
 そこで本研究では、別学習によるタブレット端末の活動場面を想定し、学習者が個々に動画教材を視聴したときの学習の変化と、その後、動画教材に関する解説の介入を行ったときの学習の変化を追究することを目的としています。

 

 本研究では、実験Ⅰと実験Ⅱを行いました。実験Ⅰでは60名の大学生を対象にタブレット教材(ミシシッピアカミミガメの動画)の視聴してもらいました。環境省では、2014年1月に外来生物であるミシシッピアカミミガメ特定外来生物に指定し,輸入・飼育の規制を行う方針を示しています。
 実験Ⅱでは、専門家による動画の解説を聞く「専門家」群(30名)と教員による動画の解説を聞く「教員」群(30名)に分けました。実験Ⅰ・実験Ⅱそれぞれ、実験の前後で、5件法による質問紙調査を行いました。実験Ⅰに関して知識面に関して実験の前後で「50年前と比べて日本での個体数が増加している」に関して、実験前に比べて実験後の得点が1.57高くなりました。説明なしの動画でも、動画により知識が得られることが分かりました。「ミシシッピアカミミガメを駆除すべきである」という問に関して、実験Ⅰでは駆除すべきでないという意識が高まっていましたが、実験Ⅱではどちらともいえないという傾向に近づきました。文部科学省(2008)は、人間の活動による影響については、「生命を尊重し、自然環境の保全に寄与する態度の育成を図ること」と示していますが、この動画の解説から生命を尊重することについて意識の変化がみられました。個別学習におけるタブレット端末の動画と一斉学習における解説を組み合わせて用いることが必要だと考えます。家庭での個別学習に加え、学校での一斉学習という学習も考えられます。

 

 今後の課題として、高校生を対象とした実践、男女差や専門家、教員の関係を項目毎に統計的手法を用いた詳細な分析、自由記述の分析が挙げられます。
  本研究会では多くの先生方からご指導とご助言をいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。

 

 

(CRET連携研究員 宇宿 公紀)


宇宿 公紀 -Kiminori Usuki-

CRET連携研究員、東京都立八潮高等学校

趣味:カメの飼育、映画鑑賞

研究テーマ:学習に関係ないことでスマートフォンを使用しながら、学習を行うこと

研究発表論文

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