CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

SITE (the Society for Information Technology and Teacher Education)発表報告
「MOOCを利用した英語学習の可能性」

国際学会SITE (the Society for Information Technology and Teacher Education)が、3月2日から6日までラスベガスで開催されました。SITEで本稿を発表いたしましたので、概要をご報告いたします。

 

本研究では、MOOCを利用した英語学習の可能性の検証をしました。大規模公開オンライン講座(MOOCs)は、ICTを活用した画期的な遠隔教育のひとつの形態です。これはオープン・エデュケーションのイデオロギーに基づき、教育・学習の機会を拡大することを目指しています。学習者はMOOCを利用すると、エリート大学の教授の講義を無料で受講し、必要な要件を満たせば修了書を取得できます。MOOCは教育的に大きな可能性を秘めている一方で、早くもピークを過ぎたという研究報告もあります。しかし、MOOCが新しいジャンルの語学教材となる成り得る可能性は高い。そこで本研究では、MOOCを取り入れたブレンド型授業が学習者にどのような影響を与えるか検証を行いました。本稿では、特に学習者の「オープンの認識」「コミュニケーション意欲」「自己効力」という概念に着目し、検証を行いました。

 

検定された仮説は、1)オープンの認識、コミュニケーション意欲、自己効力は関係があるのか。2)MOOC利用の授業設計群と、伝統的な授業設計群では、学習者のオープンの認識が有意に異なるのか。3)MOOC利用の授業設計群と、伝統的な授業設計群では、コミュニケーション意欲が異なるか。です。実験は、2014年、CRET赤堀研秋実験で行われ、参加者は60名でした。実験では、シラバスを用いて授業の概要を説明し、効果を測定しました。

 

実験の結果、1)オープンの認識、コミュニケーション意欲、自己効力は、統計的に正の相関があること、2)MOOC利用の授業設計群は、伝統的な授業設計群より、オープンの認識が有意に高いこと、3)コミュニケーション意欲については両群に有意差がないことがわかりました。Anzai (2011)では、オープンの認識は、英語力にポジティブな影響を及ぼすことが明らかになっていますので、MOOC利用授業設計群は英語力が有意に向上する可能性が示唆されました。本稿では、授業のイントロダクションの効果検証を行ったので、具体的な授業実践後の検証がさらに必要でしょう。

 

謝辞
本研究はJSPS科研費 26350332の助成を受けたものです。またCRETに支援をいただきました。お礼申し上げます。

 

(CRET連携研究員 安西 弥生)

 

 


赤堀 侃司 -Kanji Akahori-

日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)会長/ICT CONNECT 21(みらいの学び共創会議)会長/東京工業大学名誉教授

静岡県高等学校教員、東京学芸大学講師・助教授、東京工業大学助教授・教授、白鴎大学教育学部長・教授を経て、現在に至る。この間、放送大学、国連大学高等研究所などの客員教授の兼務。

◆著書:『教育工学への招待』(ジャストシステム 2002年)、『授業の基礎としてのインストラクショナルデザイン』(日本視聴覚教育協会 2004年)、『授業デザインの方法と実際』(高陵社書店 2009年)、『コミュニケーション力が育つ情報モラルの授業』(ジャストシステム、2010年)、『タブレットは、紙に勝てるのか』(ジャムハウス 2014年)など。

安西 弥生 -Yayoi Anzai-

CRET連携研究員、九州大学附属図書館付設教材開発センター 准教授

趣味:スノーケリング、水泳、料理、ウォーキング。

研究テーマ:ICTを活用した英語教育を研究しています。とくに大規模公開オンライン講座、アクティブラーニング、遠隔教育、モバイルラーニング等のインストラクショナル・デザインと評価に関心があります。

研究発表論文

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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