CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

アジア社会心理学会 発表報告
~Malleability of Shyness Through Evaluative Conditioning
(評価条件づけによるシャイネス変容の可能性)~

フィリピンのセブ州、セブ市にて、2015年8月19日から8月22日にかけて開催されたThe 11th biennial conference of Asian Association of Social Psychologyに参加しました。

 

セブ市は東京の真夏と同じくらいに蒸し暑く、夏のリゾート地として最適な場所なのでしょうか、他の国際学会に比べてラフな服装で参加している方が多かったように見えました。今回の大会は、Psychological Association of the Philippinesの第52回大会と共同開催だったようで、非常に多くのフィリピンの研究者が参加していました。他の国の研究者たちと大きく異なっていた点として、女性の研究者の割合が非常に高いことが挙げられます。以前に別の機会で知り合ったフィリピンの男性の研究者に聞いた話によると、フィリピンの教育場面に携わる方々への給与は比較的低く、男性が家庭を養っていくためには十分ではないということらしいです(真偽のほどはわかりませんが)。

 

さて、私は「評価条件づけによるシャイネス変容の可能性」というタイトルで発表しました。口頭発表を選択し、会場には立ち見も出るほど多くの聴衆が訪れていました。今回の発表は臨床心理学やカウンセリングを専門とする研究者が中心となっているセッションに組み込まれたようで、他の3名の発表者はみな実践的な臨床のアプローチについて発表しておりましたが、我々の発表も会場のみなさんはとても温かく迎えてくれました。

 

具体的な発表内容として、評価条件づけと呼ばれる手続きを用い、シャイネスが変容するかどうかを検討しました。シャイネス改善のプログラムとして、ソーシャルスキルトレーニングなどが用いられてきましたが、その効果測定として人が意識することのできる顕在的シャイネスが伝統的に使用されていました。しかし今回の研究では、我々の研究チームが取り組んでいる潜在連合テストという手法を用いて、人が意識することのできない潜在的シャイネスというものも含めて測定し、シャイネス改善プログラムの効果測定に使用できないかと考え、2つのタイプのシャイネスを今回の研究で測定しました。今回用いたシャイネス改善プログラムは評価条件づけという手法で、パソコン上での簡単な操作によって人の考えや態度を変化させるためのやり方で、それを用いてシャイネスを変化させることを試みました。39名の日本人が実験に参加し、そのデータ分析の結果、我々の当初の予測と異なり、潜在的シャイネスではなく顕在的シャイネスのほうが低減したのです。以上の結果を受け、顕在的シャイネスは今回用いた評価条件づけやソーシャルスキルトレーニングで低減すると考えられますが、潜在的シャイネスを低減させるためには何か別のアプローチが必要なのだと結論付けられます。

 

発表後には、フィリピンで実際に臨床場面に関わっている多くの方々から個人的に意見をいただきました。その一例として、今回の参加者はそもそもシャイネスが極端に高くはなく、対人的な場面や社会的な場面においてコミュニケーションに問題を感じていなかったと考えられるため、今後は臨床的なサンプルを用いたらどうかという提案をいただきました。臨床を専門とする方々だからこそ、このような貴重な意見がいただけたのだと思いますし、今後の研究の可能性として考えていきたいと思います。

 

Malleability of Shyness Through Evaluative Conditioning
pdf 当日資料 AASP 2015

(澤海 崇文・藤井 勉・中野 友香子・相川 充)

 

(CRET連携研究員 澤海 崇文)


澤海 崇文 -Takafumi Sawaumi-

CRET連携研究員、流通経済大学 社会学部 助教

趣味: テニスやヨガなどで定期的に体を動かすようにしています。語学学習にも励み、海外旅行も人生の楽しみの一つです。

研究テーマ:対人コミュニケーションやパーソナリティに興味があり、それらの比較文化研究が専門です。

研究発表論文

2017-07-31

教育テスト研究センター年報 第2号 2017年7月

相川 充

赤堀 侃司

加藤 由樹

加藤 尚吾

竹内 俊彦

舘 秀典

稲垣(藤井) 勉

澤海 崇文

北澤 武

若山 昇

宇宿 公紀

安西 弥生

外山 美樹

小林 輝美

湯 立

長峯 聖人

三和 秀平

酒井 智弘

林 楚悠然

黒住 嶺

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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