CRETの研究発表論文 Dissertation

CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。

The 17th Annual Meeting of the Society for Personality and Social Psychology発表報告

~The effects of explicit-implicit discrepancy of shyness on other personality traits: Analyses with the size and direction of the discrepancy(顕在的・潜在的シャイネスの不一致が種々の個人特性に及ぼす影響―不一致の大きさと方向に着目して―)~

~The preference for "one's own name" as an implicit measure of global self-esteem among Japanese people(自分の名前に対する選好は全般的な自尊心を測定する潜在的指標となりうるか―日本人を対象とした検討―)~

 

アメリカのカリフォルニア州、サンディエゴにて、2016年1月28日から1月30日にかけて開催されたThe 17th Annual Meeting of the Society for Personality and Social Psychologyに参加しました。

 

サンディエゴに到着したときの感想は「冬なのに暖かい」というものです。今年は暖冬かと言われていましたが、東京では1月中旬から徐々に寒さが増していました。そのような中、タイミングよく寒冬を避けてサンディエゴに来ることができました。アジア系の人々の多くは長袖に長ズボンという格好だったのですが、現地で生活している人の中には半袖に半ズボンという人も少なくなく、寒さを感じる度合いが違うのかなと、文化差を研究する身としてはこういうところでも違いを感じました。

 

さて、私たちの研究グループは (a)「顕在的・潜在的シャイネスの不一致が種々の個人特性に及ぼす影響―不一致の大きさと方向に着目して―」(b)「自分の名前に対する選好は全般的な自尊心を測定する潜在的指標となりうるか―日本人を対象とした検討―」という内容で2件のポスター発表をしました。

 

どちらも30日に同じ会場でのポスター発表だったのですが、時間帯が大きく異なっており、会場の様子も違っていました。1つは朝8時からのセッション、もう1つは夜6時15分からのセッションでした。前日のフライデーナイトを楽しんできた参加者が多かったのでしょうか、朝のセッションに多くの聴衆が訪れたとは言いがたい状況でした。ただ、このような状況のため、隣で同じくポスター発表していた研究者たちと親密に話すことができ、不思議な一体感を覚えました。夜のセッションでは毎年恒例ですが、お酒を飲みながら議論している人たちもおり、そのような様子を遠目に見ながら私は(特に何も飲まずに)発表していました。

 

ポスター発表 (a) の具体的な発表内容に関して、人が意識することのできる「顕在的シャイネス」に対して、我々の研究チームは人が意識することのできない「潜在的シャイネス」を測定する潜在連合テストという手法を開発してきました。我々の研究では、それら2種のシャイネスの高さが一致しているかどうかが自己主張性に影響するということが分かっています。具体的には、顕在的シャイネスが高い人の中で、潜在的シャイネスが高い人の方が低い人よりも自己主張の度合いが高いという傾向が見られています。最近の研究では従来とは異なる分析法が提案されており、本発表は我々が集めた今までのデータをそのような新しい角度から再分析したものです。その結果、自尊心や自己主張傾向に対して、2種のシャイネスがどのような影響を及ぼすのかを違う角度から提示できました。

 

ポスター発表 (b) では、意識できない自尊心 (自分に対するポジティブな態度) を測定する手法の1つとして、自分自身の名前に対する好みを指標にするというものが先行研究で提案されており、それが日本においても適用できるかどうかを検討しました。具体的には、名前の好みは意識できる自尊心との関連性は見られなかったのですが、主観的な幸福感と正の相関が得られました。つまり、自分自身の名前が好きだという人ほど、主観的に幸福だと思っており、これは先行研究と一貫した結果です。以上のように一定の妥当性は示されたのですが、意識できる自尊心との関連が見られなかったことなど、更なる検討を要する箇所もあり、自分の名前に対する好みが自尊心の指標として妥当であるかは更なる研究が必要であると結論づけられます。

 

ポスター発表時には、日本人だけでなく、海外の研究者からも貴重なコメントをいただき、今後の研究発展に活用したいと思っています。また、学会会場では多くの日本の研究者と親睦を深めたり、知り合いの海外の研究者と1年ぶりに再会したりと、とても有意義な時間を過ごすことができました。

 

The effects of explicit-implicit discrepancy of shyness on other personality traits: Analyses with the size and direction of the discrepancy (澤海 崇文・藤井 勉・相川 充)

 

The preference for "one's own name" as an implicit measure of global self-esteem among Japanese people (藤井 勉・澤海 崇文・相川 充)

 

(CRET連携研究員 澤海 崇文)


澤海 崇文 -Takafumi Sawaumi-

CRET連携研究員、流通経済大学 社会学部 助教

趣味: テニスやヨガなどで定期的に体を動かすようにしています。語学学習にも励み、海外旅行も人生の楽しみの一つです。

研究テーマ:対人コミュニケーションやパーソナリティに興味があり、それらの比較文化研究が専門です。

研究発表論文

2017-07-31

教育テスト研究センター年報 第2号 2017年7月

相川 充

赤堀 侃司

加藤 由樹

加藤 尚吾

竹内 俊彦

舘 秀典

稲垣(藤井) 勉

澤海 崇文

北澤 武

若山 昇

宇宿 公紀

安西 弥生

外山 美樹

小林 輝美

湯 立

長峯 聖人

三和 秀平

酒井 智弘

林 楚悠然

黒住 嶺

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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