CRETの学会レポート Colomn

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OECDシュライヒャー氏講演レポート

  2011年2月28日、文部科学省国立教育政策研究所主催のシンポジウムに参加しました。アンドレアス・シュライヒャー氏(OECD事務総長教育政策特別顧問)による、「PISAから見る、できる国・頑張る国:日本の子どもたちは?エビデンスと教育の効果」という講演があり、PISA調査の背景と今後の計画、PISA2009の結果の解説がありました。ここでは、その概要について報告いたします。

  まず、PISA調査の背景に関して、職能需要の傾向を見ると、単純知的作業(Routine Cognitive Tasks)が減少傾向にあるという指摘がありました。そのエビデンスとして、OECDのワーキングペーパーHOW TECHNOLOGY CHANGES DEMANDS FOR HUMAN SKILLS By Frank Levy のP.11にある"Figure 1: Trends in Routine and Nonroutine Task Input in U.S. Occupations: 1960 to 2002"が示されました。このグラフによれば、21世紀の社会で人間に求められるのは、単純作業ではなく、複雑なコミュニケーション力や専門的な思考力です。シュライヒャー氏は、これらの変化をとらえて、今後のPISA調査の測定能力を充実させていく意向ですが、まだ対人関係力は測定できていないと話しました。また、2009年調査に、世界経済の87%を支える65カ国が参加したことに触れて、PISA調査の影響力の大きさについて言及しました。

  次に、PISA2009の日本の結果は、1) PISA2006と比べて読解力が向上し、自由記述式の正答率も上がったが、得点格差が広がったという点、2) 生徒と教師の関係の良好性がOECD平均より低いという点、が特に強調されました。
  1点目について、上海とフィンランドは、学校間と学校内における生徒の得点差のばらつきが少なかったとのことです。今後の日本の得点格差是正のヒントが得られるかもしれません。2点目については、フロアからもその改善策について質問が出ましたが、シュライヒャー氏からの明確な解答はありませんでした。今後、学校現場で検討されていくことが望まれます。

 

(CRET研究員 星 千枝)

その他研究員 -Other Researcher-

学会レポート

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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