CRETの学会レポート Colomn

CRETから、最新の教育・テストに関する学会レポートをお届けします。

横幹連合人材育成調査研究会参加レポート
~大学生・社会人の能力試験の国際動向について~

2011年1月28日、東京工業大学三田キャンパスにて行われた横幹連合人材育成調査研究会にて、OECDが主催するAHELO,PIAACなど大学生や社会人対象の国際調査のねらいや今後の計画について話題提供しました。

  横幹連合とは、文理にまたがる43の学会が基幹科学の発展と振興をめざして団結した団体で、専門をまたがる横の重要性を訴え強化するための活動をしています。専門プラス横断的能力を備えた人材、いわゆるT字型人材育成も活動のひとつです。先の見えない時代に社会で活躍するためには、自分の専門に加えてプラスαの横断的な能力が必要とされており、日本の大学関係者が企業とともにその育成方法を探っているのです。
  ここでは、特に横幹連合の関心が高かったAHELOについて報告します。

  AHELOとは、高等教育機関の学習成果を評価するアセスメントで、学生に対して、大学卒業時の知識と能力(know and can do upon graduation)を測定します。引用文献数などで行う現存の大学ランキングとは異なり、もっと直接的に大学生の学習成果を評価します。結果を、多様な文化、言語、機関を超えて国際比較できるよう、測定領域はジェネリックスキル(批判的思考力、分析的推論力、問題解決力、論述力など)と専門スキル(予備調査では経済と工学)になっています。

  2010年12月付OECDのニューズレターによると、2012年までに、予備調査の結果をふまえて、本調査実施の判断を下す予定です。予備調査のジェネリックスキルは、米CAEのCLA (Collegiate Learning Assessment)を国際調査用に修正したものを使用します。CLAの問題は、与えられた新聞記事やメール履歴、写真や統計データなどの資料を根拠として意思決定させるPerformance Taskと、記述力を測定するMake-an-Argument promptとCritique-an-Argument promptがあり、採点基準例も公開されています。
  専門スキルの経済は、米ETSが豪ACERと協力して枠組みと問題を開発します。参考にするのは、Tuning-AHELO Conceptual Framework of Expected and Desired Learning Outcomes in Economicsと英QAA*1 subject Benchmark Statement for Economics 2007です。もうひとつの工学は、豪ACERが、日NIER(国立教育政策研究所)と伊フローレンス大学の専門家と一緒に開発します。経済同様、Tuning AHELO documentを参考にするそうです。

  日本は、工学分野での予備調査参加が決まっています。予備調査の結果で、果たして本調査が実施されるのかどうか、2012年を注目したいと思います。

*1 Quality Assurance Agency

(CRET研究員 星 千枝)

星 千枝 -Chie Hoshi-

CRET研究員

趣味: ランニング、テニス、温泉、グルメ

研究テーマ: 教育とテクノロジーを組み合わせて(EdTech)、新しい学びを創出すること。「教科×プログラミング」の指導内容と評価手法を開発し、現場での実践に取り組んでいます。

学会レポート

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CRETの研究領域

テストの評価や解析についての研究を行う。海外の教育テスト研究機関との協同研究や交換プログラムなども実施。







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コミュニケーション能力、チームワーク能力、ソーシャルスキルなどを測定するテスト方法の研究開発を行う。

相川 充

-Atsushi Aikawa-
筑波大学 人間系
博士(心理学)

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コンピューターベースのテストの基盤研究や、メディアと認知に関わる基礎研究、およびそれらの知見を活かした応用研究および実践研究を行う。

赤堀 侃司

-Kanji Akahori-
東京工業大学 名誉教授

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