
21世紀は高度な知識社会であると言われています。科学技術が発達し、ますます国際化、情報化していく社会では、求められる能力も、より高度化・多様化していきます。OECDは、1997年から6年間にわたるDeSeCo(*1)プロジェクトを通して、これからの社会に必要な主要能力であるキーコンピテンシーを定義しました。このキーコンピテンシーは、「社会に参画するために必要な手段を相互作用的に活用する能力」、「多様な社会グループにおける人間関係形成能力」、「自律的に行動する能力」の3つの能力で構成され、その枠組みの中心に、個人が深く考え、行動することの必要性を位置づけています。このキーコンピテンシーを世界共通指標で測定するため、OECDは2000年から3年ごとに、15歳を対象とした国際学習到達度調査PISA(*2)を実施しています。
このような能力測定は、各教科の知識・理解を問う伝統的な測定方法とは異なり、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシー、問題解決能力、ICTリテラシー(*3)、金融リテラシーというような、これからの社会に必要な能力を問うため、新たな測定方法の開発が必要となります。社会の変化にともない、今後も更に様々な能力の測定が必要になることから、OECD以外でも、諸外国の研究機関やコンソーシアムなどによる研究開発が進められていますが、残念ながら日本での研究開発は、十分に進んでいるとは言えません。
教育テスト研究センター(CRET)は、こうした状況を踏まえ海外の研究機関と交流しながら、日本・アジアの特長にも配慮した新しい教育領域のカリキュラム・テストの研究開発を目指しています。特にテクノロジーを活用することによる可能性に注目し、先進的な調査研究を通して、日本、そして世界の教育力向上に寄与していきたいと考えています。
(*1) Definition and Selection of Competencies
(*2) Programme for International Student Assessment
(*3) Information Communication Technology