CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。
日本社会心理学会第57回大会 発表報告
~シャイネスの発達的変化の検討~
関西学院大学にて、2016年9月17日から18日にかけて開催された日本社会心理学会第57回大会に、相川理事および藤井研究員と参加してきました。
今年の大会は、「社会心理学の学際性を追究する」ことをメインテーマとして掲げており、17日に興味深いワークショップがあったので、参加してきました。登壇者の先生方は、パーソナリティ心理学や老年学、さらには看護学や医学を専門とする方々で、非常に興味深い話をうかがうことができました。学際的研究の強みとしては、他分野のリソースが利用できるようになること(例えば、医療現場での患者さんを対象とすることができる)などが挙げられますが、もちろん利点ばかりではありません。各分野には分野独自の作法があるようで、学際的研究を行う際には他分野の用語や言い回しを尊重しつつ進めていく必要があるとのアドバイスもいただき、私自身様々な分野の研究者と学際的研究を進めているので、大変有意義なワークショップでした。
さて、私はCRET相川研として実施した研究(シャイネスの発達的変化の検討)を18日に発表しました。ポスター発表を選択し、午後の時間帯だったのでポスター会場には非常に多くの来訪者がいました。
具体的な発表内容はシンプルですが、公表する意義が大きいものです。なぜならば、シャイネス(恥ずかしさを感じる度合い)の強さが世代間でどう異なるかを、大規模なオンライン調査で検討したものだからです。これまでの研究では10代のみを対象にしてシャイネスがどう発達的に変化していくかが検討されてきましたが、それ以降、たとえば大学生ひいては社会人になってからシャイネスがどう変化していくかという点に関しては、本邦では研究が行われていないようです。そこで本研究では、インターネット調査会社に調査を依頼し、1000人以上の調査回答者のデータを得て、シャイネスの世代間の差異を分析しました。分析を行う際には、性別によってシャイネスが異なるであろうとの予測も踏まえ、性差も要因に加えました。
データ分析の結果、大変興味深い結果が得られました。特に、シャイネスが年齢とともに単純に増減するのではなく、40代にてピークを迎えるという傾向が観測されました。これは、年齢とシャイネスの相関係数を算出する相関分析では見られないような逆U字型のパターンであり、ポスターを見にいらっしゃった研究者の方も関心を示していました。
このような結果になる理由を、私だけでなく聴衆も交えて共に考えてみたところ、様々な要因が絡んでいるとの結論に至りました。40代というのは、特に子供を持つ女性にとっては、子供が学校に行き始めて、本人たちが職場への復帰を目指すライフステージであり、そこで人目が気になってシャイネスを強く感じるようになるのではないかという社会学的な考察です。他にも、生理的な要因などが挙げられます。さらに、新たな分析の方向性についても聴衆から助言を得ることができ、さっそくこれらの要因のいくつかについては実証研究を実施する予定です。ポスター発表は、このように聴衆と一緒に考察を行うというスタイルが比較的許容されやすいため、大変得るものが多かった機会でした。
日本社会心理学会は、私が大学院に進学してからすぐに入会した学会です。私にとって、知り合いの研究者が最も多く所属している団体で、会場をうろうろしているだけでも多くの懐かしい顔に触れることができました。
~シャイネスの発達的変化の検討~
(澤海 崇文・藤井 勉・相川 充)
(CRET連携研究員 澤海 崇文)
2022-08-02
加藤 由樹
加藤 尚吾
竹内 俊彦
舘 秀典
稲垣(藤井) 勉
澤海 崇文
北澤 武
若山 昇
外山 美樹
小林 輝美
湯 立
長峯 聖人
三和 秀平
海沼 亮
澄川 采加
山本 美紀
浅山 慧
2021-07-21
赤堀 侃司
加藤 由樹
加藤 尚吾
竹内 俊彦
稲垣(藤井) 勉
澤海 崇文
北澤 武
若山 昇
宇宿 公紀
安西 弥生
外山 美樹
小林 輝美
湯 立
長峯 聖人
三和 秀平
海沼 亮
澄川 采加
山本 美紀
浅山 慧