CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。
日本教育心理学会第61回総会 発表報告(シンポジウム)
「教育心理学における制御焦点理論の応用可能性」
2019年9月14日(土)~16日(月)にかけて,東京都世田谷区の日本大学文理学部キャンパスにて,日本教育心理学会第61回総会が開催されました。私どもの研究班では,「教育心理学における制御焦点理論の応用可能性」というテーマでシンポジウムを行いました。企画・司会は外山研究員,話題提供は,三和研究員,長峯研究員,肖研究員,海沼の4名が行いました。
日本大学文理学部キャンパスは,最寄り駅からのアクセスも整えられており,最終日には雨が降ったものの,数多くの関係者が学会に参加する姿が見受けられました。また,会場となった文理学部キャンパス3号館は,総会中の催物を1つの建物内で収容するだけの収容能力を有しており,移動の心配なく,数多くのシンポジウムやポスター発表をうかがうことができました。
今回の総会のテーマは,「教育心理学を『自主創造』する」でした。「自主創造」は,日本大学の教育理念であり,「自ら学び,自ら考え,自ら道をひらく」という構成要素が含まれているそうです。総会では,テーマを体現したような熱い議論や最新の研究動向について進んで学ぶ姿が見受けられました。
今回は,外山研究員・三和研究員・長峯研究員・肖研究員・海沼で「教育心理学における制御焦点理論の応用可能性」というテーマで,シンポジウムを開催しました。指定討論者は,教育心理学の観点から名古屋大学大学院中谷素之先生,社会心理学の観点から神戸学院大学の長谷和久先生が引き受けてくださいました。内容は,まず外山研究員が制御焦点理論および制御適合理論の紹介と,応用可能性として本理論の魅力について紹介がなされました。その後,他の4名が話題提供を行いました。具体的には,三和研究員は,小学生における制御適合に関する研究,長峯研究員は,競争場面における制御焦点と他者の適合についてライバルとチームメイトに着目した研究,肖研究員は,制御焦点のはたらきを踏まえ,欲求支援行動とエンゲージメント,パフォーマンスの関連について扱った研究,そして海沼は制御焦点を測定する尺度の研究動向の紹介と,小・中学生の制御焦点を測定する尺度の作成に関する研究について,それぞれ発表を行いました。
中谷先生の指定討論では,制御焦点理論における動機づけの質や多様な文脈が重なり合う教育場面において,制御焦点に関する知見をどのように応用していくかという観点からご指摘くださいました。また,長谷先生の指定討論では,各話題提供者に対し,社会心理学において積み重ねられてきた制御焦点に関する知見との関連性や今後,検討していくべき点について,ご指摘くださいました。こうした点は,シンポジウムのテーマのキーワードとなる「応用可能性」を検討していくうえで,意義深い点であり,これまでの研究,そしてこれからの研究をどのように教育現場に還元していくか,ということを改めて捉え直す機会となりました。
また,フロアとの質疑応答においても多くの研究者や現職の先生から質問をいただくことができました。こうしたことから,外山班が行っている研究に多くの関心が集まっていることを改めて実感することができました。本シンポジウムを通して,CRETという組織をより強く認識してもらうことができたと考えております。今回のシンポジウムでいただいたアドバイスやコメントを参考に,今後も応用場面を見据えた研究を進めていきたいと思います。
「教育心理学における制御焦点理論の応用可能性」
(企画・司会:外山美樹,話題提供:三和秀平,長峯聖人,肖雨知,海沼亮)
(CRET連携研究員:海沼亮)
2020-07-14
赤堀 侃司
加藤 由樹
加藤 尚吾
竹内 俊彦
舘 秀典
稲垣(藤井) 勉
澤海 崇文
北澤 武
若山 昇
宇宿 公紀
安西 弥生
外山 美樹
小林 輝美
湯 立
三和 秀平
海沼 亮
澄川 采加
2020-01-26
竹内 俊彦