CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。
日本パーソナリティ心理学会第29回大会 発表報告
「中学生における教師からの欲求支援行動と学習行動との関連:制御焦点に着目して」
2020年9月11日(金)~12日(土)にかけて,東京都町田市の和光大学のもと「日本パーソナリティ心理学会第29回大会」が開催されました。相川研外山班からは,海沼が出席しました。
昨今の社会事情を鑑み,大会はオンライン形式で開催されました。ポスター発表は,テレビ会議システム・Remo(リモ)を使用し,各発表者にブレイクアウトルームが割り振られる形で実施されました。Remoは,対面式のポスター発表と同様に,リアルタイムでの質疑応答が可能なシステムということもあり,発表者がそれぞれのブレイクアウトルームにて,参加者と活発な議論を行っている様子が見受けられました。また,チャット機能を用いた補足説明や発表画面を参加者と共有しながらの議論など,オンライン形式ならではのやりとりも行われていました。そして,その他の企画公演などのプログラムは,テレビ会議システム・zoomを使用して,参加者が一堂に会したリアルタイム形式で開催されました。オンライン形式という従来とは,異なる大会形態ではありましたが,それぞれのプログラムに合ったテレビ会議システムが活用されていたこともあり,2日間,滞りなく参加することができました。
今回の学会発表では,「中学生における教師からの欲求支援行動と学習行動との関連:制御焦点に着目して」というテーマで1日目に,ポスター発表を行いました。相川研外山班では,これまでも他者からの欲求支援行動(サポート)の有用性が自己制御の枠組みの1つである制御焦点によって異なるのかというテーマについて大学生を対象に,実験や調査を用いて検討してきました。そこで,本発表では,中学生が学校の教師から受け取る欲求支援行動に着目した検討を行いました。具体的には,中学生を対象に,教師から受け取る欲求支援行動と中学生自身の学習行動との関連について制御焦点の効果を踏まえて検討しました。その結果,理想や獲得を志向する促進焦点の傾向が強い中学生においては,選択肢を与えたり,自発的な考えを促したりする自律性支援行動を教師から受けることで,学習行動の指標の1つである行動的エンゲージメントが高まることが示されました。こうした結果から,子ども一人ひとりの個人特性に合わせた欲求支援行動を提供することの重要性が示されたものといえます。
質疑応答では,動機づけ研究を専門とされている参加者だけではなく,社会心理学や発達心理学を専門とされている参加者の方からも数多くのコメントをいただくことができました。具体的には,責任や義務を成し遂げることを志向する防止焦点の傾向が高い中学生の学習への取り組みを高めるための欲求支援行動の在り方や学校の教師だけでなく,養育者との関係など他の文脈における欲求支援行動の効果に対する制御焦点の役割に関するコメントなどが寄せられました。質疑応答を通して,本研究の学術的・教育的意義が多くの方と共有できたとともに,今後の課題が明確になりました。本研究で十分に明らかにできなった点については,引き続き検討を行っていきたいと考えています。
リアルタイムでの発表機会が限られる中,参加者の方と直接,議論を深めることができた貴重な機会となりました。大会を通して,CRETという組織をより広く認識していただけたものと考えています。今後も利用可能なリソースを最大限に活用しながら,研究成果を積極的に発信していきたいと思います。
(CRET連携研究員 海沼 亮)
海沼 亮・外山 美樹・長峯 聖人・湯 立・三和 秀平・相川 充(2020).中学生における教師からの欲求支援行動と学習行動との関連:制御焦点に着目して 日本パーソナリティ心理学会第29回大会,20.
2018-07-19
赤堀 侃司
加藤 由樹
加藤 尚吾
竹内 俊彦
稲垣(藤井) 勉
澤海 崇文
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小田 理代
2018-03-02
19thAnnual Meeting of the Society for Personality and Social Psychology 発表報告
外山 美樹
湯 立
長峯 聖人
三和 秀平