CRETから、最新の教育・テストに関する研究発表論文をお届けします。
日本社会心理学会第54回大会 発表報告
~顕在的・潜在的シャイネスが対人印象に及ぼす効果―他者評定を指標として―~
沖縄国際大学にて、2013年11月2日から3日にかけて開催された日本社会心理学会第54回大会に、相川理事および連携研究員の藤井研究員と参加しました。
沖縄は高校生の修学旅行以来の訪問で、その時の思い出は微かながら残っていました。当時は空港からバスで移動したのですが、平成14年度にゆいレールというモノレールが運転開始し、今回の旅では移動がとても便利になったと思います。東京と比べて10度ほど気温が高く、半袖で過ごせるほどの陽気でした。常夏の島ということで大会の会場ではアロハシャツにショートパンツの格好で現れる研究者もいるのではないかと期待していましたが、さすがにそのような格好の人を見つけることはできず、正装で参加していた人が多いように思います。
さて、私と藤井研究員はそれぞれ、CRETから補助を受けて実施した2つの研究(顕在的・潜在的シャイネスが対人印象に及ぼす効果―他者評定を指標として―、顕在的・潜在的シャイネスが自己呈示行動に及ぼす効果 (2)―自由記述に基づく検討―)を発表しました。ポスター発表を選択しましたが、ポスター会場は体育館を貸し切っての開催だったので、広すぎて寂しさを感じることもありました(もちろん、発表を聞きにいらっしゃった人が少なかったわけではありません)。
具体的な発表内容として、シャイネスが対人印象に与える影響を検討いたしました。シャイネスとは内気や恥ずかしさを表す性格特性であり、シャイな人というのは対人的な場面において抑制された気持ちになり、思うようにコミュニケーションが取れないだろうと考えられます。そのように振る舞う人は、コミュニケーションの相手およびまわりの人から見てどのように映るのでしょうか。状況によって変わるかもしれませんが、シャイな人というのは頼りない人や自信のない人だと思われてしまうと考えられます。このようなシャイネスというのは伝統的には質問紙のような形式で測定されていました。しかし我々の研究チームは、無意識的なシャイネスを測定するテストを用い、意識できるシャイネスと合わせて2側面からシャイネスをとらえるという試みを続けています。人々が他者に対して与える印象について、その2種類のシャイネスがどのような影響をもたらすのかを研究発表しました。
本実験はPC上で行ったのですが、初対面の人が多いところで自己紹介してもらうという仮想の場面を参加者に想像してもらいました。そして、その際に話す会話内容をキーボードで入力してもらいました。その自己紹介文を我々の研究チームに所属しない2名の学生(第三者)に読んでもらい、対人的な印象を評価してもらいました。その結果、意識できるシャイネス(質問紙によって測定)が低い人ほど、その人の自己紹介文によって、対人的に望ましい人および積極的な人であるという印象を与えやすいという分析結果が得られました。また、積極性に関しては意識できるシャイネスと意識できないシャイネスの組み合わせ効果も得られました。具体的には2種のシャイネスの高低が一致している人ほど、不一致の人よりも積極性が高いという傾向が見られました。伝統的には人々が意識できるシャイネスに研究のフォーカスが当てられてきましたが、今後は我々が取り組んでいる意識できないシャイネスが与える効果というのも合わせて検討すべきだということも示唆されました。
日本社会心理学会は、個人的には非常に思い入れの強い団体です。私にとって、知り合いの研究者が最も多く所属している団体であり、大会を通じて他の研究者と意見を交わすこともでき、とても有益な知見を得ることもできました。このような貴重な体験をすることができたのもCRETのおかげです。改めて御礼申し上げます。
~顕在的・潜在的シャイネスが対人印象に及ぼす効果―他者評定を指標として―~
(澤海崇文・藤井勉・相川充)
(CRET連携研究員 澤海 崇文)
2019-07-19
相川 充
赤堀 侃司
加藤 由樹
加藤 尚吾
竹内 俊彦
稲垣(藤井) 勉
澤海 崇文
北澤 武
若山 昇
宇宿 公紀
安西 弥生
外山 美樹
小林 輝美
湯 立
長峯 聖人
三和 秀平
酒井 智弘
肖 雨知
海沼 亮
能渡 真澄